VOL.I 新しい概念の紹介
TRINC METHODとはどのようなものなのかを図をふんだんに活用しわかりやすく解説します。
VOL.II 新しい手段
TRINC METHODを可能にする新しい静電気・異物対策装置を紹介します。
VOL.III 従来の間違い常識集
従来の方法でなぜ不良が減らなかったのかが明らかになります。
VOL.IV 実践効果実績集
TRINC METHODで不良を劇的に改善することができたお客様の喜びの声を業種ごとに紹介します。
どんなハイテクもクリーン環境なくしては存在しえないことを考えると、静電気・異物対策はハイテクを支える礎石である。しかし残念なことに、今まで静電気・異物対策には理論がなかった。あるのは古い時代のESD(Electro-Static Discharge=静電気放電)という静電気対策の標準規格だけである。これが問題をこじらせた。
困り果てた工場の現場では、無手勝流が横行し、皆良かれと思う方法でやってきた。同じ企業の中でも現場によって考え方とやり方が違う状況である。筆者はこの現実を目の当たりにして、今まで欠落していた静電気・異物対策の教科書を作らねばならないと感じ、10年にわたる取材を経てここにようやく書物にまとめることができた。工場の 製造現場で日夜、何とかしなければと思いながらも、どうすべきかが分からず、思い悩む当事者の指標になれば幸いである。
筆者は、今こそ新スタンダードの幕開けの時代だと思っている。静電気・異物分野も遅ればせながら進歩を始めた。これからも現場の方々と歩調を合わせ、引き続き皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、内容の改更をかさねることで、さらに磨きをかけていく所存である。最終的に、誰もが使えるデファクトスタンダード(事実上の標準)になり、社会のお役にたてればこの上の喜びはない。
【2017.07.31】『日刊工業新聞 TRINC METHOD(全集)』製造現場の異物対策伝えたい
―約2年半にわたる執筆で「TRINC METHOD(全集)」を発刊しました。全4巻を書き終えた感想を。
「達成感と一抹の寂しさがある。そして正しい異物対策を伝えたいという使命感は一層強まった。1999年に偶然にも静電気・異物対策に携わることになった。当時、めにしたモノづくりの現場は品質不良や歩留まりの悪さに悪戦苦戦し、混乱を極めていた。私は一技術者として常識にとらわれず、減点発送でゼロから考え、新しい考え方や技術を提案してきた。著者は静電気と向き合った15年以上の経験と知見の集大成だ」
―最終巻は「実践効果実績集」として実際の成果や顧客の声を紹介しています。
「当社の手法が実際にモノづくりの現場で効果を発揮していることの証だ。大手企業に認められた喜びや顧客に喜ばれた時の感謝がよみがえり編集中に思わず目頭が熱くなった」
―書籍の活用法は。
「当初は販売ツールにしたいとも考えたが、執筆しているうちに考え方が変わった。今は技術や製品を大切に育てたい気持ちが強い。だから書籍も申込制にした。製品不良や異物問題で悩み、真剣に対策を考えてる人や企業に活用してもらいたい」
―全4巻の構成をどう考えましたか。
「起承転結だ。第1巻は『新らしい概念』。ベンチャーとして企業した当初はなかなか新しい概念、技術を理解してもらえなかった。執筆中に当時の”こんちくしょう精神”がよみがえった。表紙の青色はきれいな空気、クリーンな空をイメージした。第2巻『新しい手法』は執筆に最も苦労し、第3巻『従来の間違い常識集』と発刊の順序が入れ替わった。最終巻は実例集にすると決めていた」
―第2巻に苦労した理由は。
「業界別に静電気対策や異物に効果的な除電器を提案する実用的な書にしたかった。単なる自社製品の宣伝や製品紹介、技術解説の羅列にならないように心がけた。写真や絵図をふんだんに使い、製品の誕生のエピソードなどを盛り込んで読み物風に仕上げている。第2巻の表紙はみずみずしい新緑、第3巻は落葉をイメージした。第4巻は表彰状などによく使われるえんじ色で、感謝の意を表した。」
―書籍はベンチャーとして成功した自身の足跡でもあります。
「無手勝流がはびこっていた製造現場の異物対策をなんとかしたい一心で発起した。最初は製品を背負って顧客を訪問し、次にセミナーで正しい異物対策について説いてまわった。その中で、新しい異物対策をまとめたガイドラインがほしいという顧客の声に背を押され全集を執筆した」
―今後、高柳社長の技能や経営哲学をどう伝えていきますか。
「困りごとを解決する技術があれば、世の中が会社を生かしてくれると自信がついた。当社の手法を業界のデファクトスタンダードにするのが夢。国内ではだいぶ浸透した手応えがあるが、海外はまだまだ。近く全集の英語版も発刊したい。今後、数年をかけ私が積み上げたものを後継者に引き継いでいく。浜松市内に建設予定の新研究所は、静電気の原理や技術を伝える基地としていきたい」